パーキンソン病

パーキンソン病|板橋区の脳神経外科・内科 - のむら脳神経外科

パーキンソン病について

パーキンソン病とは

パーキンソン病は脳の黒質という領域から分泌されるドパミンが不足することで生じる神経難病です。ドパミンは体の動きをスムーズにする働きがありますが、パーキンソン病を発症すると、ドパミンが不足するため運動症状を生じ、進行すると生活に支障をきたします。
加齢とともに罹患率は高くなり、65歳以上に限定すると1000人に一人は罹患すると推計され、決して稀な疾患ではありません。また、個人的な意見ですが、

  • 発症、症状の進行が緩やかに進行する(気づきにくい)
  • 神経系専門医でも診断が難しいことが多い(診断できる検査法が確立していない)

上記が原因で診断されずお困りになられている患者様やご家族が多くいらっしゃるのではないかと考えています。

1)特徴

動きが遅い(動作緩慢)、ふるえ(振戦)、手足の動きにくさ(筋強剛)、よく転ぶ(姿勢反射障害)の運動症状が特徴です。下記にさらに詳しく説明します。

①動きが遅い(動作緩慢)

顔の動き(表情)が遅くなると、無表情(仮面様顔貌)となることがります。また、手足の動きが遅くなると歩幅が小さくなる(小刻み歩行)ため歩くスピードが遅くなります。

②ふるえ(振戦)

左右差がある安静時振戦(手に意識がいっていない時に片手がふるえる)が特徴です。
具体的には診察時の問診(病状をお伺いしているとき)の際に、膝に置いた手がふるえていることが多いです。さらに、手の指先が丸薬(ピル)を丸めるような(ピル・ローリング)特徴的な動きを認めることもあります。

③手足の動きにくさ(筋強剛)

筋肉の緊張(筋強剛)により手足の動きにくさが生じます。振戦と同様に左右差があることが特徴です。具体的には「片足が徐々に動きにくくなった。脳梗塞ではないか。」と受診される方が多いです。

④よく転ぶ(姿勢反射障害)

バランスを崩した際に姿勢が保てず倒れやすくなります。進行したパーキンソン病の患者様に見られる症状で、発症初期には殆ど生じません。

上記の①動作緩慢に、②ふるえ(振戦)や③手足の動きにくさ(筋強剛)を伴う状態を、パーキンソンニズムといいます。パーキンソン病の診断に非常に重要な所見となります。

2)診断方法

パーキンソン病は確実に診断できる検査方法は確立していない診断が難しい疾患です。しかし、①神経学的診察、②内服薬の確認、③頭部MRI検査、④診断的投薬を行うことで診断にたどり着くことが可能です。

①神経学的診察

パーキンソンニズムの存在を確認します。これがまず第一歩です。

②内服薬の確認

実は、パーキンソンニズムを生じる疾患はパーキンソン病だけではありません。その一つとして薬剤性パーキンソンニズムがあります。要は薬の副作用でパーキンソンニズムが生じている状態です。原因薬の中止により改善しますので現在の内服薬をチェックします。

③頭部MRI検査

パーキンソンニズムを生じるパーキンソン病以外の脳の疾患を除外するために頭部MRI検査を行います。以下が主な鑑別疾患です。

  • 進行性核上性麻痺
  • 多系統萎縮症
  • 大脳皮質基底核変性症
  • アルツハイマー病
  • 脳腫瘍
  • 脳卒中
  • 脳血管性パーキンソンニズム
  • 正常圧水頭症

パーキンソン病の異常所見をMRI検査で検出することは難しいですが、上記の鑑別疾患の除外のためには有用です。

④パーキンソン病の治療薬を診断的に使用する

具体的にはレボドパ含有製剤を少量投与し効果を確かめます。具体的には1ヶ月程度処方し、症状の改善があるかチェックします。副作用として吐き気や便秘などが生じる可能性がありますので患者様やご家族とご相談し慎重に投与を検討します。

3)治療方法

パーキンソン病は現時点では根本的な治療方法は存在せず、日本では指定難病とされています。しかし、患者様の症状に合わせた薬物療法(お薬の治療)に運動療法を取り入れることで治療効果のアップが望めます。また、パーキンソン病の合併症を防ぐことも重要です。

①薬物治療

レボドパ含有製剤を内服することで不足したドパミンを補充する治療方法です。パーキンソン病の内服薬はその他にもありますが、当院ではこのドパミン補充療法を重視して行います。なぜならレボドパ含有製剤は現時点で最も有効な治療薬であるからです。一方で、前述したように吐き気や便秘などの副作用が生じる可能性があり、一度経験すると次回からの治療に大きく支障をきたします。
当院ではレボドパ含有製剤の副作用を極力抑えることを目的に初期は少量投与で行い、時間をかけて内服量を調整していきます。

②運動療法

人間は体を使わないとその部位は機能が落ちてきます。これを廃用と言います。パーキンソン病の患者様は手足の動きにくさが生じますので運動不足になりがちです。そうすると廃用が生じてきますのでますます動きにくくなり寝たきりになりかねません。当院では廃用の予防のために運動療法をお勧めします。
毎日楽しく行うことが重要ですので、ゆるさんぽを行うことをお勧めします。

ゆるさんぽのポイント
  • 1日15分程度のウォーキング(背筋を伸ばす、手を大きくふる、太ももをしっかり上げる)
  • おしゃべりしながら、周りの四季を感じながら(頭を使う)
  • 毎日続ける

です。おしゃべりしながらウォーキングすることで、手足、体幹、頭を使うことになりますので体全体の廃用予防(認知症予防、寝たきり予防)になります。また運動の強度もおしゃべりできるぐらいが丁度いいです。「少し物足りないな」と思うぐらいの運動時間と運動強度で楽しく行うことが長続きのポイントです。

③合併症の予防

パーキンソン病の合併症で多いのは大腿骨頸部骨折と誤嚥性肺炎です。これらの合併症により前述した廃用になり認知症や寝たきりにつながることが少なからずあります。
大腿骨頸部骨折の予防には転倒しないことが重要です。室内でのスリッパ使用は転びやすくなりますので避けましょう。また、立ちくらみ(起立性低血圧と言います)を起こし転倒することがあります。ゆっくり立ち上がり症状がないことを確認してから歩き始めましょう。誤嚥性肺炎の予防には、食事内容を工夫することで弱くなった噛む力と飲み込む力(嚥下と言います)をサポートすることが効果的です。具体的には食材を小さくする、やわらかくすることで噛む力をサポートし、とろみをつけることで飲み込む力をサポートすると効果的です。

4)公的制度の申請

パーキンソン病は特定疾病に認定されており公的支援制度を受けることができます。公的支援を活用し、円滑に医療や介護を受けましょう。

①難病医療費等助成制度

パーキンソン病の患者様で重症度が比較的高い方(ヤールⅢ以上)が対象です。認定されると医療費の自己負担額が大幅に軽減されます。認定には、患者様やご家族が最寄り保健所で申請書類一式をもらい申請することが必要です(申請しない限り認定されません)。
その中に、臨床調査個人票という主治医が記載する書類があります。パーキンソン病の治療を行っている患者様(ヤールⅠ~Ⅱでも申請準備をしておいた方がいいです)はご相談ください。

②高額療養費制度

パーキンソン病の患者様で重症度が比較的低い方(ヤールⅠ~Ⅱ)は高額療養費制度を活用することで医療費の自己負担額を軽減することが可能です。
認定には、患者様のご加入されている保険者に申請することが必要です。加入先が社会保険であれば全国健康保険協会や会社の健康保険組合です。国民健康保険の場合は市区町村の役所です。

③介護保険制度

 パーキンソン病の患者様は40歳以上(通常は65歳以上)であれば介護サービスの利用が可能です。申請は市区町村の窓口で、認定されると患者様の状態に合わせて施設サービスや通所リハビリなどのサービスを受けることができます。当院では「主治医意見書」を作成し、介護申請の支援を行います。

まとめ

  • パーキンソン病はドパミンが不足することが原因で特徴的な運動症状が出現する。
  • 診断は難しいが神経学的診察と頭部MRIなどを行うことで診断していく。
  • 治療の中心はドパミン補充療法だが、運動療法に加え、合併症を防ぐことが重要。
  • 公的制度を利用することで円滑に医療及び介護を受けることができる。