手足のしびれ

手足のしびれ|板橋区の脳神経外科・内科 - のむら脳神経外科

手足のしびれについて

手足のしびれに悩まされる患者様は少なくありません。病院へ受診するとまず最初に案内されるのは脳神経外科です。それは患者様だけでなく医療者側も「まずは脳を調べないと危険だ」とわかっているからです。つまり、手足のしびれは治療を急ぐ脳の病気かどうかを最初にチェックすることが重要です。
また、「しびれ」でお困りの場合は異常感覚(ビリビリ、ジンジンする)の他に、感覚低下(痛みや熱さを感じにくい、感じない)や運動麻痺(手足が動きにくい)が隠れていることがあり治療を急ぐ疾患が隠れていることも稀ならずあります。手足のしびれに関しては当院にまずはご相談ください。

脳が原因の手足のしびれ(脳型)

同側の手足にしびれがあることが特徴です。医師はこの特徴を知っているため、同側の手足にしびれがある場合は脳疾患を念頭(例えば、右手右足のしびれであれば左脳疾患をイメージ)に診察しています。さらに発症様式が突然発症であった場合は緊急対応が必要となる可能性があるため緊張感を持って対応しています。

1)脳卒中(脳梗塞、脳出血)

特徴

同側の手足のしびれが突然発症することが特徴です。動脈硬化の危険因子(高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙)や心房細動を伴っている患者様に多く生じます。

診断方法

  • 神経所見:しびれ意外の神経症状(ほとんどが軽度の運動麻痺や構音障害を伴っています)も注意深く診察します。
  • 頭部MRI検査:MRI検査では小さな脳梗塞も検出可能です。

治療方法

早期の脳卒中治療薬の点滴療法とリハビリテーション療法が必要です。

2)脳腫瘍

特徴

同側の手足のしびれが数週間かけてゆっくり発症することが特徴です。高齢化に伴い、脳腫瘍の中でも神経膠腫(グリオーマといいます)と転移性脳腫瘍(脳以外に悪性腫瘍があり、脳に転移した腫瘍)が特に多い印象です。手足の運動麻痺、失語症(言葉が理解できない、話せない)、視野障害といった他の神経症状も伴っていることがあります。

診断方法

  • 神経所見:しびれ意外の神経症状も注意深く診察します。
  • 頭部MRI検査:MRI検査では小さな脳腫瘍も検出可能です。

治療方法

手術(開頭腫瘍摘出術)が必要となりますが、腫瘍の種類により手術のエキスパートが異なります。当院で腫瘍に応じて最も信頼がおけるエキスパートの術者に紹介します。

3)慢性硬膜下血腫

特徴

1~2ヶ月前の頭部外傷後に同側の手足のしびれが数日かけて発症することが特徴です。多くの場合、同側の運動麻痺を伴います。

診断方法

  • 神経所見:しびれ意外の神経症状(ほとんどが運動麻痺を伴っています)をチェックします。
  • 頭部MRI検査:血腫が脳を圧迫している所見が確認できます。

治療方法

血腫量が少なければ内服薬で治りますが、血腫量が多い場合は手術(穿頭血腫洗浄ドレナージ術)が必要です。

脊椎・脊髄が原因の手足のしびれ(脊髄・神経根型)

医学用語で背骨のことを脊椎(せきつい)と言います。脊椎の中はトンネル(脊柱管:せきちゅうかんと言います)になっており、脳から連続する太い神経(脊髄:せきずいと言います)が走行しています。これら脊椎や脊髄に異常があると手足にしびれを生じます。両手や両足のしびれ(脊髄型)、片手や片足のしびれ(神経根型)が特徴です。
以下に脊髄型・神経根型のしびれを紹介します。

1)頸椎変性疾患

特徴

頸椎(けいつい)とは首の脊椎のことです。頸椎の脊柱管に異常(変形性頸椎症、頸椎椎間板ヘルニア、頸椎後縦靭帯骨化症など)があると首の脊髄(頸髄:けいずいと言います)が圧迫されしびれを発症します。これを頸椎性脊髄症や頸椎性神経根症と言います。手のしびれに加え後頚部から上背部の痛みがあり、手先が不器用(お箸やボタンかケガ上手くできなくなったり)になるのが特徴です。

診断方法

  • 診察:皮膚の感覚領域と脊髄神経は対応しています。これをデルマトームと言います。患者様のしびれの領域がどこの脊髄レベルに異常が生じているのかチェックします。次に両手をまっすぐ前に伸ばしてもらい、両手の開閉を10秒間してもらいます(alternative motion rate ; AMRと言います)。10秒間で25回以上できなければ異常所見となります。
  • レントゲン検査:頸椎の変形のチェック(骨棘の有無、椎間孔狭窄)
  • 頸髄MRI検査:診断に欠かせない画像検査です。脊髄の圧迫所見(水平断)、椎間孔狭窄(矢状断)、神経根の走行(冠状断)で確認します。

治療方法

しびれのみの症状の場合は内服薬で治療します。しかし、運動麻痺や耐え難い痛みが伴う場合はMRI検査の所見も合わせて手術加療を検討します。手術は実績及び成績が良い医師と十分に相談した上で行う必要があります。私が信頼するエキスパートに紹介させていただきます。

2)腰部脊柱管狭窄症、腰部椎間板ヘルニア

特徴

腰椎(けいつい)とは腰の脊椎のことです。腰椎の脊柱管に異常(腰部脊柱狭窄症、腰部椎間板ヘルニアなど)があると腰の脊髄(腰髄:ようずいと言います)が圧迫されしびれを発症します。足のしびれに加え腰痛を伴うのが特徴です。また、歩行により足に痛みが生じ、長距離歩行に支障をきたす(間欠性跛行と言います)ことも多いです。特に足の痛みは太もも、膝、ふくらはぎの外側に生じます。痛みは変形性膝関節症が膝の内側、脊柱管狭窄症が膝の外側と覚えましょう。

診断方法

  • 診察:患者様のしびれの領域がどこの脊髄レベルに異常が生じているのかデルマトームをチェックします。次に仰臥位になった状態でまっすぐ足を伸ばしてもらい挙上させ、足にしびれや痛みが誘発されるかチェックします(Strait leg raising ; SLRと言います)。70度以下の挙上で誘発されると異常所見となります。
  • レントゲン検査:腰椎の変形のチェック(骨棘の有無、腰椎分離症の有無)
  • 頸髄MRI検査:診断に欠かせない画像検査です。脊髄の圧迫所見(水平断)、椎間孔狭窄(矢状断)、神経根の走行(冠状断)で確認します。

治療方法

しびれのみの症状の場合は内服薬で治療します。しかし、運動麻痺や耐え難い痛みが伴う場合はMRI検査の所見も合わせて手術加療を検討します。手術は実績及び成績が良い医師と十分に相談した上で行う必要がありますので、私が信頼するエキスパートに紹介させていただきます。

末梢神経が原因の手足のしびれ(末梢神経型)

脊髄神経から手足に向かう神経を末梢神経と言います。末梢神経に異常があると、片方の手や片方の足の特徴的な領域にしびれを生じます。以下に末梢神経型のしびれを紹介します。

1)正中神経の障害(手根管症候群)

特徴

正中神経は手を握るための神経です。この正中神経は手首にある手根管と呼ばれるトンネルを通過しますが、この手根管症で正中神経が締め付けられる(絞扼と言います)と正中神経にそったしびれを生じます。それが正中神経障害(手根管症候群です)。
特徴は片方の手の親指、人差し指、中指、薬指の一部にしびれです。特に起床後にしびれは強いです。調理師や美容師の方などで手首に負荷がかかる職業の方に多いです。また、糖尿病や甲状腺機能低下症に合併することも少なくありません。

診断方法

  • 診察:手首を背屈させたり、手首を打診することでしびれが誘発されるかチェックします。

治療方法

整形外科へご紹介させていただきます。

2)尺骨神経の障害(肘部管症候群)

特徴

肘をぶつけた際に指先にしびれを生じた経験はおありでしょうか。これこそが尺骨神経の症状です。尺骨神経も手を握るための神経です。この尺骨神経は肘にある肘部管と呼ばれるトンネルを通過しますが、この肘部管で尺骨神経が絞扼されると尺骨神経にそったしびれを生じます。特徴は薬指の一部と小指のしびれです。

診断方法

  • 診察:しびれの領域と生活(仕事中、就寝中)の中で肘の圧迫がないかを確認します。

治療方法

整形外科へご紹介させていただきます。

内科的疾患が原因の手足のしびれ(両手足型)

手足の末梢神経が糖尿病やアルコールの常用により障害されると手足のしびれを発症します。特徴は両手、両足のしびれです。医師は「グローブ(両手)、ストッキング(両足)型のしびれ」とよく言います。未治療の糖尿病やアルコール依存症などがあり見逃してはいけない疾患です。糖尿病内科や精神科に紹介させていただきます。