頭痛

頭痛|板橋区の脳神経外科・内科 - のむら脳神経外科

頭痛について

頭痛は誰もが経験したことのある症状と思いますが、日本人の約1/3(約4000万人)が日頃から慢性的な頭痛に悩まされていると言われています。その頭痛の原因は、命に関わらない頭痛(一次性頭痛)と命に関わる頭痛(二次性頭痛)に大きく分けることができます。
命に関わらない頭痛の代表は「片頭痛」です。片頭痛は命には関わりませんが、的確に診断されず、「なんでもない頭痛」と診断され大変辛い思いをされている患者様が非常に多いです。しかし、片頭痛には特効薬があり、診断と治療を適切に行うことでその辛い頭痛から解放されます。
一方、命に関わる頭痛の代表は「くも膜下出血」です。くも膜下出血は発症した約1/3が命を落とす怖い疾患です。しかし初期の症状は軽い頭痛だけであることもあり注意が必要です。
つまり、頭痛は的確に診断することが重要です。その要は頭痛診療の経験豊富な脳神経外科専門医による診察と脳のMRI検査(1.5Tまたは3.0T)です。
以下に主な頭痛の原因について紹介します。ご自身に当てはまる症状があれば当院にまずはご相談ください。

命に関わらない頭痛(一次性頭痛)

実は、頭痛のほとんどは命に関わらない頭痛(一次性頭痛)です。しかし、その症状は強く、生活に支障をきたしていることも少なくありません。また、意外と思われるかもしれませんが、一次性頭痛はMRI検査で異常所見を認めません(※MRI検査は二次性頭痛の除外のために重要です)。そのため診断は簡単ではありません。
一次性頭痛の種類(鑑別疾患)は以下に示すような疾患名がありますが、疾患ごとに治療方法が異なります。的確に診断し適切に治療を行うことで辛い頭痛から解放されます。
特に片頭痛と緊張型頭痛は頻度が高い疾患なので別ページで詳しく説明します。

1)片頭痛

特徴

10代~40代に多い非常に辛い頭痛です。低気圧で悪化し光や音に敏感となります。

診断方法

問診(特徴的症状)、診察(異常所見がない)、頭部MRI検査(二次性頭痛の除外)

治療方法

トリプタン製剤の内服、発作予防薬の内服

2)緊張型頭痛

特徴

30~50歳代に多いです。心的、身体的ストレスによる「肩こり」を伴うことが多いです。

診断方法

問診(特徴的症状)、診察(圧痛点の確認)、頭部MRI検査(二次性頭痛の除外)

治療方法

ストレッチ、温熱療法、トリガーポイントの指圧

3)群発型頭痛

特徴

片側の目の奥を中心とした激しい頭痛のため受診されることが多いです。片頭痛と異なり、毎月生じるのではなく1年の内の数週間または1、2ヶ月程度のまとまった期間に生じます。その発作の期間は、毎日決まった時間帯(夜間が多い)に生じることが多いです。一度、生じた患者様は毎年繰り返すことが多く「先生、またこの時期がきました。」と教えてくれる方も多いです。

診断方法

  • 問診:上記の特徴を聞き出します。
  • 診察:流涙、眼球充血、瞳孔縮瞳、眼瞼下垂、鼻水、鼻詰まりなどを確認します。特に目の診察は後述する緑内障(瞳孔散大する)との鑑別のため非常に重要です。
  • 頭部MRI検査:頭部MRI検査では異常所見なし(二次性頭痛の除外を行う)。

治療方法

スマトリプタンの投薬及び酸素投与により軽快します。また、喫煙や飲酒により悪化しますので発作期間中は禁煙、禁酒を指導します。

4)後頭神経痛

特徴

左右の後頭部にはそれぞれ大後頭神経という神経が走行しています。この大後頭神経は後述する三叉神経という神経とともに頭皮・顔面の感覚などを担っています。この大後頭神経が肩こりなどで痛むと片側の後頚部から同側の目にかけての刺すような痛みが生じます。実際には緊張型頭痛に伴って生じていることが多いです。

診断方法

  • 診察:風池(ふうち)と呼ばれる後頭部の窪みの圧痛を確認します。
  • 頭部MRI検査:頭部MRI検査では異常所見なし(特に椎骨動脈解離の除外を行う)。

治療方法

内服、ストレッチ、温熱療法、風池の指圧

5)薬物乱用頭痛

特徴

片頭痛を市販の鎮痛薬で我慢している方に多いです。定義では「月に15日以上、頭痛に対して鎮痛薬を内服」とされていますが、実際はほぼ毎日内服されています。片頭痛は非常に辛い頭痛なので「痛みはないけどあの頭痛が怖いから鎮痛剤を飲んでおこう」という不安感から頻繁に鎮痛剤を内服することで薬物乱用頭痛に至ります。

診断方法

  • 問診:片頭痛の有無を確認しつつ、乱用に至った経緯、服薬と頭痛の関連などをチェックする。
  • 頭部MRI検査:頭部MRI検査では異常所見なし(二次性頭痛の除外を行う)。

治療方法

原因薬の即時中止、片頭痛の治療

6)三叉神経痛

特徴

顔の感覚は左右の三叉神経という神経で脳へ伝達されます。「三」という名前の通りこの神経は、おでこの領域(第1枝)、頬の領域(第2枝)、顎の領域(第3枝)の3領域があります。三叉神経痛はその中の一領域の神経が障害され痛みが生じます。特徴は洗顔、歯磨き、髭剃りなどの皮膚の刺激の際に電撃痛が走ります。また、歯科医先生から「抜歯後も痛みが改善しない」とのことで精査を依頼されることも少なくありません。

診断方法

  • 問診:顔を刺激した際の電撃痛の確認
  • 頭部MRI検査:頭痛側の三叉神経の根本に、脳血管が接触していることを画像で確認する。

治療方法

まずは神経を落ち着かせる薬(テグレトール)の内服でコントロールします。内服薬でのコントロールが困難な場合は手術(ジャネッタ手術と言います)を考慮しますが、この手術を得意とする脳神経外科医に執刀してもらうことが重要です。

7)副鼻腔炎

特徴

頭重感(頭が重い感じ)に顔面痛を伴う。

診断方法

診察(おでこや頬の打診痛)、頭部MRI検査(蓄膿所見の確認)

治療方法

抗生剤及び去痰剤の内服(耳鼻咽喉科へ紹介します)

8)帯状疱疹

特徴

顔や頭皮のピリピリする痛みが特徴で、患者様ご自身で「先生、頭皮がピリピリ痛いんです。」と教えてくれることも多いです。帯状疱疹は水疱形成など皮膚所見が特徴的ですが、発症初期は頭痛のみで後から水疱形成を生じて診断されることも少なくないです。頭部の帯状疱疹は皮膚科、眼科、耳鼻科の総合治療が必要で治療が遅れると視力や聴力に支障もきたします。つまり早期発見が必要な見逃してはいけない疾患なのです。

診断方法

問診、診察(皮膚初見のチェック)、頭部MRI検査(二次性頭痛の除外)

治療方法

抗ウイルス薬投与(皮膚科へ紹介します)

9)緑内障発作

特徴

片目の激痛と吐き気が特徴です。失明にもつながるので早期発見が必要な見逃してはいけない症状です。前述した群発型頭痛と症状が似ていますが、瞳孔所見が鑑別で重要です。

診断方法

  • 診察:流涙、眼球充血、瞳孔散大が特徴です。
  • 頭部MRI検査:(二次性頭痛の除外)

治療方法

眼房水排出薬の投与(眼科へ紹介します)

命に関わる頭痛(二次性頭痛)

命に関わる頭痛(二次性頭痛)は治療が遅れると命の危険性や重度の後遺症を残す恐ろしい疾患です。その特徴は

  • 突然、頭痛が生じた。
  • 片側の手足の麻痺(力の入りにくさ)を伴う。
  • 片側の顔や手足のしびれを伴う。
  • ろれつが回らなくなった。
  • 歩けないほど辛い頭痛。

です。また、二次性頭痛は頭部MRI検査で異常所見を認めるのが特徴です。つまり二次性頭痛の診断にはMRI検査が非常に重要です。
ご自身の体はご自身が一番よくわかります。「いつもの頭痛と違う」、「なんか不安だ」など感じる場合は、当日MRI検査が行える当院にお気軽にご相談ください。

1)くも膜下出血

特徴

突然発症する激しい頭痛と意識障害(朦朧とした状態)。

診断方法

問診、診察、頭部MRI検査(くも膜下出血の確認と動脈瘤の確認)

治療方法

緊急手術

2)脳出血

特徴

突然発症する頭痛と片側手足の麻痺(手足が動きにくい)。

診断方法

問診、診察、頭部MRI検査(脳出血の確認と異常血管の確認)

治療方法

緊急入院(降圧療法、リハビリ療法)

3)椎骨脳底動脈解離

特徴

動脈解離とは血管が裂ける状態のことです。首を強く捻った際に突然激しい後頚部痛を生じた際はこれを疑います。30代~50代の働き盛りの世代が多いです。脳梗塞(頭痛と同側の顔の感覚低下と反対側の手足の痺れ)を伴うこともあります。

診断方法

  • 問診:上記の特徴以外に複視(二重に見える)、めまいの有無を確かめます。
  • 診察:感覚低下、眼球運動障害、小脳失調をチェックします。
  • 頭部MRI検査:MRI検査の中でも脳血流の検査であるMRA(アンギオグラフィー)が重要ですが、通常の頭部MRI検査よりも撮影範囲を広げないと見逃す可能性があります。つまり、椎骨動脈解離を想定し撮影しないMRI検査を行っても診断に至りません。

治療方法

基本は降圧療法を行い、脳梗塞やくも膜下出血を予防する治療を追加します。

4)下垂体卒中

特徴

脳には下垂体というホルモンを産生する部位があります。そこで出血を生じることを下垂体卒中と言います。突然発症する頭痛と吐き気に加え、急激な視力、視野の悪化(両側の耳側の視野が不良となります)を伴うのが特徴です。

診断方法

  • 問診:上記の特徴を聞き出す。
  • 診察:視野の異常(視神経の異常所見)、眼瞼下垂と眼球運動障害(動眼神経の異常)
  • 頭部MRI検査:下垂体部での出血をチェックする

治療方法

ステロイドの補充、手術加療

5)脳静脈洞血栓症

特徴

脳静脈洞とは脳の太い静脈のことです。頭頂部の真ん中を前後に走行する上矢状静脈洞や後頭部を左右に走行する横静脈洞が閉塞すると脳静脈洞血栓症となります。
血液が固まりやすい状況にある患者様に多いです。具体的には炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、経口避妊薬の内服中、妊娠中、ホルモン補充療法などです。これらの診療にあたる消化器内科や産科婦人科の先生から紹介されることもあります。

診断方法

  • 血液検査:Dダイマーが高値(血が固まりやすいことを示唆します)になります。
  • 頭部MRI検査:MRI検査が非常に重要です。具体的に拡散強調画像、磁化率強調画像で静脈洞内における血栓(前者で高信号、後者で低信号)をチェックし、さらにMRV画像で静脈洞の流れをチェックします。

治療方法

緊急入院(脳出血を伴わない場合は抗凝固薬投与)

6)もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)

特徴

脳血管が進行性に閉塞していく日本人に多い原因不明の疾患です。脳梗塞(虚血型)や脳出血(出血型)を発症して判明することが多いですが頭痛で判明する(頭痛型)こともあります。

診断方法

以前は脳血管カテーテル検査が診断には必要でしたが、近年はMRI検査(1.5テスラ以上)での診断が可能となりました。

治療方法

頭痛型の中でも、小児の吐き気を伴う強い頭痛を伴う場合は、手術(血行再建術)により軽快することが多いです。

7)髄膜炎

特徴

風邪症状に引き続いて生じる激しい頭痛が特徴です。20代~40代の比較的若い世代に多いです。頭痛、発熱、嘔吐が特徴とされていますが、実際は激しい頭痛のみのことが多く、うなだれるような非常に辛そうな印象(見た目の印象をジェネラルと言いますが非常に重要な視診所見です)が特徴です。また、一度なった方は繰り返すことも少なくなく、「先生、また髄膜炎みたいです」と自己申告される患者様もいます(実際、ほとんどがご本人の勘通り髄膜炎です)。

診断方法

  • 問診:先行感染の有無、これまでの髄膜炎の既往歴などを確認します。
  • 診察:教科書的には首が硬くなる(項部硬直)や首を振ると痛がる(ジョルトサイン)がありますが、実際は所見がないことが多いです。やはり視診(ジェネラル不良)から「髄膜炎の可能性がある」と鑑別に挙げることが重要です。
  • 頭部MRI検査:髄膜炎はMRI検査では異常所見はありませんが髄液検査を行うために頭蓋内占拠性病変の確認を行います。画像検査を行わず髄液検査をすることは非常に危険(脳ヘルニアの危険があります)なので必ず画像検査を行います。
  • 髄液検査:腰に針を刺し(腰椎穿刺といいます)脳脊髄圧及び脳脊髄液をチェックします。当院では行えませんので髄液検査が可能な施設で行います。

治療方法

抗菌薬、抗ウイルス薬の投与

8)慢性硬膜下血腫

特徴

1~2ヶ月前の頭部外傷後に生じる頭重感(頭が重い)と片側手足の麻痺

診断方法

問診、診察、頭部MRI検査(血腫の確認)

治療方法

血腫量が少なければ内服薬で治りますが、血腫量が多い場合は手術(穿頭血腫洗浄ドレナージ術)が必要です。

9)脳腫瘍

特徴

起床後の吐き気を伴う頭重感が特徴です。また、頭痛を伴う脳腫瘍は大きいサイズであることが多く、手足の麻痺や失語症(言葉が理解できない、話せない)といった他の神経症状も伴っていることが多いです。

診断方法

問診、診察、頭部MRI検査

治療方法

手術(開頭腫瘍摘出術)が必要となりますが、腫瘍の種類により手術のエキスパートが異なります。当院で腫瘍に応じて最も信頼がおけるエキスパートの術者に紹介します。