頭部外傷の問題は、1)頭部外傷直後(急性期頭部外傷)と2)頭部外傷数日後と3)頭部外傷数週~数ヶ月後の問題に大きく分けることができます。
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頭のケガ
頭部外傷の問題は、1)頭部外傷直後(急性期頭部外傷)と2)頭部外傷数日後と3)頭部外傷数週~数ヶ月後の問題に大きく分けることができます。
急性期頭部外傷を担当するのは我々脳神経外科医です。私もこれまで数多くの患者様を診療させていただきました。研修医の先生方や他科の先生方に「脳の検査を行うかどうかの判断はどうするのですか。CTとMRIはどっちがいいのですか」と聞かれたことが数多くあります。私は以下のように答えてきました。
まず、意識清明に関してですがこれは「いつも通り」ということです。頭部外傷後、いつもと違う状態(意識がはっきりしていない、元気がない、気分が悪い、吐き気がある)は脳のダメージを示唆しますので原則CT検査の対象となります。MRI検査ではなくCT検査を行う理由ですが、頭部外傷の際は、迅速性、外傷性頭蓋内出血の検出、頭蓋骨骨折の検出に関して圧倒的に頭部CTが有用だからです。
当院では頭部CT検査が行えませんので、頭部外傷直後、いつもと違う状態(意識がはっきりしていない、元気がない、気分が悪い、吐き気がある)であれば脳神経外科医がいて頭部CT検査が行える病院へ直接受診されてください。
意識清明で元気な様子である場合は当院へ受診してください。
意識、神経所見をチェックします。どちらも異常がなければ画像検査は原則必要ありません。しかし、2歳未満の乳幼児やご高齢者の方の場合は外傷所見によっては画像検査が必要となる場合があります。
急性期頭部外傷で生命の問題が生じる状態は、急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫です。頭部CTでは脳を圧迫する三日月型またはレンズ型の血腫が特徴的です。手術加療(開頭血腫除去術)が必要です。
頭部は、頭髪が生える「頭皮部」と頭髪が生えていない「顔面部」に分かれます。頭皮部の創部は脳外科、顔面部の創部は形成外科が専門の治療領域となります。頭皮部の傷は目立たないのに対して、顔面部の傷は目立ちます。
当院では頭皮部の縫合はもちろん顔面部の縫合も可能ですが、「顔の傷をなるべく目立たないようにしたい」とご希望の場合は形成外科様へご紹介いたします。
頭部外傷直後にCT検査を施行し異常がないと言われたのに、いつもと違う状態の場合はCT検査で所見が得られない脳や脊髄の損傷をきたしている場合があります。
以下に各状態を紹介します。「これは私の症状かな」と思いましたら当院へご相談ください。
非出血性の脳損傷でCTでは検出が困難です。頭部外傷直後にCT検査を施行し異常がないと言われたが、いつもと違う状態(意識がはっきりしていない、元気がない、気分が悪い、吐き気がある)を呈しているのが特徴です。
びまん性軸索損傷を伴うと高次脳機能障害を効率に伴います。早期から各障害に応じた認知リハビリテーションを行うことが勧められます。
頭部外傷から数日後に後頭部や後頚部に痛みやめまいを生じます。
安静の上、鎮痛剤を用いて症状を緩和しますが、牽引治療や温熱療法が必要となることが多いため整形外科様に紹介します。
時間経過に沿った問診が非常に重要です。受傷時より時間が経過しているため、患者様やご家族もお困りの症状が外傷によるものと考えていないことがあるためです。
この時期の頭部外傷では頭部MRI検査が有用です。当院では頭部MRI検査が行えますので「これは私の症状かな」と思うようでしたら当院へご相談ください。
1~2ヶ月前の頭部外傷後から徐々に歩行障害や意識障害(認知症と間違われることが多い)などの生活上の問題が生じて来院される方が多いです。
血腫量が少なければ内服薬で治りますが、血腫量が多い場合は手術(穿頭血腫洗浄ドレナージ術)が必要です。
頭部外傷後の記憶障害、感情障害、性格の変化などの認知機能障害や精神機能障害が特徴です。特にびまん性軸索損傷と呼ばれる非出血性の脳損傷が生じた場合は高次機能障害となる可能性が高くなります。
リハビリテーション、うつ症状や情動コントロール障害(攻撃性、興奮)に対する薬物療法
体位によって生じる頭痛が特徴です。具体的には臥位では頭痛を生じませんが、立位や座位の時に頭痛が生じます(起立性頭痛といいます)。また、頭痛以外にも耳鳴り、聴力低下、めまい、吐き気などの症状が起立性に生じます。
安静とし、水分摂取を励行してもらいます。症状が軽快しない場合はブラッドパッチという治療法を行いますので、低髄液圧症候群の治療が行える病院へ紹介します。