めまいに悩まされる患者様は少なくありません。実はめまいの原因のほとんどは耳の三半規管の不具合によるものですが、病院へ受診するとまず最初に案内されるのは脳神経外科です。それは患者様だけでなく医療者側も「まずは脳を調べないと危険だ」とわかっているからです。
つまり、めまい診療は脳の病気かどうかをチェックすることが重要です。めまいに関しては当院にまずはご相談ください。
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めまい
めまいに悩まされる患者様は少なくありません。実はめまいの原因のほとんどは耳の三半規管の不具合によるものですが、病院へ受診するとまず最初に案内されるのは脳神経外科です。それは患者様だけでなく医療者側も「まずは脳を調べないと危険だ」とわかっているからです。
つまり、めまい診療は脳の病気かどうかをチェックすることが重要です。めまいに関しては当院にまずはご相談ください。
脳が原因となるめまいの多くは、脳梗塞(小脳梗塞、脳幹梗塞が多いです)で生じます。これまで研修医の先生方や他科の先生方に「脳梗塞によるめまいを見逃さないコツは何ですか。」と聞かれたことが数多くあります。私は「頭部の画像検査を躊躇なくすること。そして可能であればCT検査ではなくMRI検査を行うこと」と答えてきました。理由は以下です。
問診や眼振などの身体所見は確かに重要ですが、突然めまいを発症し大変辛い状態の患者様に十分な問診や身体所見を行い有用な情報を得るのは非常に困難です。また、症状がめまい単独の脳梗塞は梗塞範囲が小さいことが多く、教科書的な異常所見を診察で得ないことが少なくありません。
そのため、めまい診療には脳の画像検査が重要と考えています。そして画像検査でもCT検査ではなくMRI検査が必要です。なぜなら初期の脳梗塞をCT検査で検出することは非常に困難だからです。つまり1%でも脳梗塞を疑う場合は躊躇なく頭部MRI検査を行うことが重要です。
動脈硬化の危険因子(高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙)や心房細動を伴っている患者様に多く生じます。症状としては、片側の手が上手く使えない、立ち上がっても毎回同じ側に倒れてしまうことが特徴です。
特徴的な眼振(目の揺れ)のチェック。頭部MRI検査(小脳梗塞の確認)
早期の脳卒中治療薬の点滴療法とリハビリテーション療法が必要です。
動脈硬化の危険因子を持つ患者様に多く生じます。めまい以外にも顔と体半身の痺れ、構音障害(呂律が回らない)、複視(ものが二重に見える)などの症状を伴うことが多いです。
上記症状の確認、頭部MRI検査(脳幹梗塞の確認)
早期の脳卒中治療薬の点滴療法とリハビリテーション療法が必要です。
動脈解離とは血管が裂ける状態のことで激痛を伴います。椎骨脳底動脈解離(後頚部の激痛)を生じると、多くは脳幹梗塞(めまい)を伴います。そのため強い後頚部痛の後にめまいを生じた場合は椎骨脳底動脈解離を疑います。
基本は降圧療法を行い、脳梗塞やくも膜下出血を予防する治療を追加します。
バランスを調整する小脳や脳幹に血流を送るのが椎骨脳底動脈です。その椎骨脳底動脈が動脈硬化などにより狭くなり、血流が不安定になると椎骨脳底動脈循環不全を生じます。一過性のめまいが特徴ですが、痺れ、構音障害、複視などの脳幹梗塞のような症状を同時に伴うことが多いです。
抗血小板剤の内服
聴神経腫瘍とは、前庭神経というバランスの神経に発生した脳腫瘍(良性腫瘍)のことです。多くは聴力の異常(聴力低下、耳鳴り)で発症しますが、腫瘍の増大に伴い脳幹を圧迫するとめまいを生じます。また、非常に腫瘍が大きくなると同側の顔の痺れを伴うことがあります。
良性腫瘍なので基本は経過観察です。しかし腫瘍の大きさが3cmを超える場合は治療(まずは放射線治療)を考慮します。4cmを超える場合は脳幹への強い圧迫を伴いますので手術加療(開頭腫瘍摘出術)を考慮しないといけませんが、難易度が非常に高い手術となりますので、信頼がおける聴神経腫瘍のエキスパートに執刀してもらうことが重要です。
耳の奥は内耳と言われ、聴力(蝸牛)とバランス(三半規管と前庭)の2つの情報を脳へ送っています。このうち三半規管や前庭に不具合を生じるとめまいを生じます。これを耳性めまいと言います。以下に主な耳性めまいについて紹介します。
前庭にある耳石が剥がれ、三半規管に迷入することが原因です。起床後、トイレに行こうと立ち上がった際に非常に強い回転性めまい(ぐるぐる目が回ります)を生じることが多いです。立っていられず横になるとめまいは一時的に止まりますが、頭を横に向けたり起き上がると再びめまいを生じます。蝸牛には異常がありませんので難聴や耳鳴りはありません。
数日で軽快しますが、めまいによる嘔吐を伴うことが多く、脱水症が疑われる場合は補液を行います。後遺症はありませんが、数年後や数ヶ月後に繰り返し生じることが多いです。
蝸牛、三半規管、前庭の中を満たす内リンパ液に不具合を生じることが原因と考えられています。蝸牛、三半規管、前庭に不具合を生じますので、めまい(三半規管・前庭の症状)以外に難聴や耳鳴り(蝸牛の症状)を伴います。
抗めまい薬やステロイドが効果がありますが、全例、耳鼻咽喉科へ紹介します。
突然発症する強い回転性めまいが特徴で、良性発作性頭位めまい症とよく似ていますが、横になってもめまいは止まらず持続的です。蝸牛には異常がありませんので難聴や耳鳴りはありません。
数週で軽快しますが後遺症残ることもありますので全例、耳鼻咽喉科へ紹介します。
内耳(蝸牛、三半規管、前庭)の血流障害が原因と考えられており、ある日の突然発症する片側の難聴が特徴でめまいはさほど強くありません。
突発性難聴は早急のステロイド治療が重要で治療が遅れると、後遺症となりますので全例、耳鼻咽喉科へ紹介します。
一過性に気を失うことを失神と言います。失神には気が遠のいていく症状(前兆)があり、患者様がこれを「めまい」とご説明されることは少なくありません。めまいと失神では原因が異なってきますので、めまい診療を行う際、医師は「もしかして失神ではないかな」を考えながら診察を組み立てています。
以下に主な失神の原因となる疾患について紹介します。
脳へ送られる血流が一過性に減少し気を失います。特徴は「倒れてしまう」という前兆があることと、失神後にすぐに意識が回復することです。原因として満員電車や暑い場所、採血時の緊張や痛みなどがあります。
低血圧及び徐脈が特徴だが診察時はほとんど回復している。身体所見は異常なし。
原因となるような状況を避けるように指導。繰り返すことが少なくなく、前兆を感じたらしゃがみ込むように指導します。
立ち上がった直後に脳へ送られる血流が一過性に減少し気を失います。原因として自律神経障害(ストレス、糖尿病、パーキンソン病など)、貧血(胃・十二指腸潰瘍、胃がん、大腸がん)、薬の副作用(降圧薬、利尿剤)などがあります。
原因となっている疾患の加療をしつつ、ゆっくりと立ち上がることや生活リズムの改善を指導します。
立位、臥位にかかわらず突然生じるが特徴です(「倒れてしまう」という前兆を伴いません)。また、階段の登り降りや運動など心臓に負荷をかけている時に突然生じた失神は心疾患を考える必要があります。
心疾患が疑われる場合は全例、循環器科へ紹介します。